研究内容とプロジェクト

文部科学省

 平成31年度科学技術試験研究委託事業

「BGC-Argo搭載自動連続炭酸系計測システムの開発」

(研究代表者:茅根 創)

研究課題の概要

 海洋酸性化や地球温暖化の実態を把握するために、フロートに搭載して水深1000mまで自動連続で海洋の pHとアルカリ度の計測を可能とするシステムを開発する。具体的には、東京大学がこれまでに開発した浅海設置型のシステム(消費電力10W、重量 5kg)を基に、水深1000mまでの圧力変化条件下で安定して作動するシステムに改良するとともに、計測システムの小型化・低電力化(消費電力1W、重量1kg)を図る。なお、pHとアルカリ度の測定値の精確さについては、誤差をそれぞれ実験室における計測と同じ±0.002以内と± 2μmol/kg以内とし、この精確さを維持するために、深海に適した標準海水を調整するとともに、浮力維持機構を備え、平衡定数の圧力依存性の評価に基づく標準的な計測法を開発し現場試験を行う。また、本事業の成果を民間企業等へ円滑に技術移転が行えるよう、試作機の製作や製造書、使用マニュアル等の関係文書を作成する。
共同研究機関 :東京大学,産業総合技術研究所,琉球大学

科学研究費基盤研究(A)

「CO2湧出口における造礁サンゴからソフトコーラルへの群集シフト」

(研究代表者:茅根 創)

研究課題の概要

 大気CO2濃度上昇による海洋酸性化の影響を,生態系スケールで評価する自然の実験場として, 火山性CO2湧出口が注目されている.我々は,琉球列島の硫黄鳥島においてCO2湧出口を発見し, 高CO2海域では造礁サンゴに代わってソフトコーラルが優占することを報告した.これは,CO2 湧出口における生物相変化を明らかにした世界で3例目の報告である.しかしながら,硫黄鳥島 における高CO2環境の計測は数日で,生物相調査も卓越種に留まっている.
 本研究の目的は,硫黄鳥島の高CO2環境の時空変動を明らかにするとともに,CO2濃度勾配に伴う生物相変化を明らかにする. さらに生物分布がCO2環境によって規定されていることを,現場移植実験と水槽実験によって検証し,同島が酸性化応答の自然の実験場として有効であることを評価する.
共同研究機関 :東京大学,琉球大学


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